男たちの大和 YAMATO


丸の内TOEIにて、「男たちの大和」を観てきた。
内容が内容だけに、客層は比較的年配の方が多い。
上映が始まる前、長渕剛の主題歌(のインストバージョン)が
うっすら流れていて、「…プッ」って感じだったのだが、
(というかCM等を見ている限りでも合わないだろうと思ってたしね)
(これは後々覆されることになるのだが)
肝心の映画そのものはといえば、いやぁ、よかった。とても。
ありがちな反戦映画に終始していないところがいい。
少年兵に重きを置いているからというのも大きいと思うけれど、
戦争の是非だとか大義だとか、そういうところにはさしてスポットが当たっておらず、
まぁ戦争映画だから当然そういう側面も出てくるんだけど、
それらを通して大和に関わった人間のこころを描いていたという感じ。
戦闘シーンはものすごい迫力で、邦画でもここまでできるようになったか!
という妙な感動を覚えた。
金かかってるなぁ〜と思いながら観ていて、唯一冷めた目で観てしまった
シーンだったかもしれない。
だって流血具合がすごくて、血が苦手な私にはきつかったのだ。
同じ戦争映画の戦闘シーンでも、「プライベート・ライアン」ほどの
エグさはなかったかな、とは思うのだが。


「敗れて目覚める」


この台詞が一番印象的だった。
日本を目覚めさせるためだと思えばこそ、彼らは散っていけたのだろうか。
60年してやっと生き残った意味が解ったという言葉は重かったなぁ。


無条件にこの手の感動ものに弱い私は、
1時間くらい断続的に泣き続けていた。(…)
とりあえず、観ようか迷っているひとがいたら間違いなく薦める。



賛否両論な現代シーンも、私はアリだと思う。
あれがなければ神尾が「自分が生き残った」ということの意味を
理解することもなかったわけだし、
仲代達也、鈴木京香、…ともう一人の男の子(名前わからん)を
過去・現在・未来の象徴として見ることもできる。
戦後60周年という節目だということもあるし、戦争を知らない世代としての
私たちの目を、それに向けさせるという意味でも成功しているんじゃないか、と思う。




で、最初は「…プッ」だった長渕剛なのだが、これが思いのほかいいのだ。
歌詞がストーリーとリンクしていて、エンドロールとともに
映画をフラッシュバックするような感じ。
長渕のかすれた声も映画全体に漂うやるせなさや切なさを増幅させる。
主題歌を長淵に依頼しようと思った人、グッジョブ。




主演の反町、中村獅童もよかったと思う。
まぁ獅童に関しては内田というよりは獅童本人という感じだったけれど。
少年兵役の役者は割と平均点が高かったように思う。
特に松山ケンイチは秀逸。もちろん優ちゃんは言わずもがな。
派手さを持つ者はいないのだけれど、その素朴さが余計にそれぞれの少年兵たちに対し
思いを馳せさせ、観客の情感を煽るのだ。



なるほどこれは、私たちのような世代こそ観るべきだ。
なのに来ている客層にギャップがあるのが残念。